2012年05月28日

協会審査基準要約(平成24年1月1日改定)


協会審査基準(平成24年1月改定).pdf

ここに示す審査基準は、あくまで審査を行う上でポイントについての要約です。この要約の目的は、審査員の心掛ける審査のポイントを明示することと、それによって会員の皆さんに品評会における審査の内容の理解を深め、品評会用の魚の必要条件を知って頂く事にあります。もっと大事な種魚に関しては、別な条件があります。

この審査基準の位置付け
 品評会用のらんちうの良し悪しについては、残念ながら実際に見て場数を踏んで理解ししなければ修得出来ない内容が多々ある事を先ず理解視してください。つまりらんちうは変化に富んだ生体であり、タイプが無限と言って良いほど多岐に渡るからです。従って、らんちうの審査基準は文章では言い表わせない内容が多々あるという事です。
ですから、この世に存在するらんちうの審査基準は、あくまで実際審査を個人的好みで逸脱した審査を行う事を避けるための基本的ポイントを示す要約としての位置付けと
してあるものです。ですから、実際の審査は文章では表せない事項があるので、完全ではありません。
 ただ、社団法人化し。らんちうを生きた美術品として末永く日本の誇れる伝統文化として取組んで行こうという姿勢の当団体にとって、従来の審査基準は、人によって解釈が異なる抽象的な表現も多く、可及的に具体的な内容を付加する必要があり、それを盛り込みました。らんちう愛好家の皆様に、らんちうの奥深さと、らんちうの質の保存・維持・向上の指針なればと願う次第です。

第 1章 総体
 (基本姿勢)
第 1条 魚の基本姿勢は、頭、胴体、尾が最もその特徴を生かし相対的に釣合の整った   ものを上位とする。
* らんちうの祖先はフナで、6000万年前その形が自然界で固定したとされています。らんちうはそのフナが突然変異したものを、人が人為的に選別交配して江戸時代末期より取組んだ品種でこの世に登場して200年も経っていません。ですから、繁殖にさいして、らんちうは常に、自然界でも生き抜きやすいフナの形質に、戻ろうとしています。つまり人によってその形質は維持されています。
* 相対的釣り合いとは、らんちうは大きく分けて、頭部・胴部・尾部から成り立っていますが。らんちうの形質のポイントは、フナと対極の形質を求めている事です。その対極的な形質を判り易く表に纏めますので、確認してください。。



らんちうとフナの形質の相違点

フナ らんちう
頭部 口先が尖った流線型 口先が尖らない肉瘤豊かな獅子頭
胴部 肉厚が薄く峰が立つ 天頂が平坦な筒〜箱型(背鰭感排除)
尾部 フナ尾 開き尾

という具合です。つまり、フナは自然界で生き抜くための泳力に特化した形質を獲得しているということ。その対極のらんちうは正反対の形質にあるという事でそれは人が介在しないと維持できない形質という事です。そして大事なのはらんちうはその対極的形質をすべて適えている事が理想とされていますが、そうは簡単に行きません。少しでも泳ぎ易くという摂理が働いて、頭部・胴部・尾部の何れかを、泳ぎ易くするため干渉しあっているのです。つまり、頭が豊か過ぎれば、胴部は細く尾の開きが弱くなり、尾の開きが良すぎれば、頭部は貧弱になり、胴は細く峰が生じる。胴部が太過ぎても頭は貧弱になります。これら三つの部位は、何れかの部分で泳ぎ易い形質を保とうとする節理を持っているのです。ですから相対的釣り合いとは、、各部位がらんちうの形質を損なわない質を持っている事が重要という事です。頭部だけ、或いは尾だけ際立ったらんちうを品評会では良しとしないという事です。そしてフナとらんちうの対極的形質のポイントして最も注目しなければならない部位は突然変異の最大の特徴の指標である背鰭感を見せない胴の形状を少なくとも保つと言う事です。以上の事を理解して頂ければ、この協会審査基準要約がより理解出ると思います。
第 2条 魚を審査するに当たっては、当日の出来を基準とする。
 (泳ぎ)
第 3条 魚の泳ぐ姿勢は優雅であること。
    *上下動、横揺れ、クネリを見せずに連続的に軽やかに泳ぐということ。
第 4条 魚の泳ぎは軽やかな尾捌きであること。
    *尾の力だけ無く、相対的バランスで自然体でおが使える形質ということ。
第 5条 魚の泳ぎは流動的な動作をもっていること。
    *不連続な動作を見せないということ。
 (太さ)
第 6条 魚の大きさに比例し、より太くたくましいものを上とする。
* 太く、たくましいという事は、単に大きい方が良いと言う事ではありません。
大きさに拘わらず、らんちうの豊かな形質を備えていて、そこに醍醐味があるという事です。
 (鱗)
第 7条 鱗の大きさは成るべく小さく、並びは一線に乱れずを上とする。
  *鱗が小さい個体は、鱗が大きいものより、生来大きくなる素質ではありません。このことも第6条と密接な関連性があります。
第 8条 鱗の色艶は赤、更紗に拘わらず綺麗で健康色を放っているものを上とする。
2 赤の場合は、濃赤、黄金色で健康色を放っているものを上とする。
3 白の場合は、濃白、黄頭で健康色を放っているものを上とする。
4 更紗の場合は、濃赤・濃白で赤白の境界が鮮明で健康色を放っているものを上      とする。 美しさと
* いずれの色でも、艶のある健康色( 美しさと健康の証し)

 (品位)
第 9条 魚の品位が豊で貴族的品位を保っているものを上とする。
  *作り過ぎでない、魚齢、魚体に応じた姿ということ。

第 2章 各部
 (尾)
第10条 尾形:三尾・桜尾・4つ尾は対等である 
  *近年四つ尾が好まれますが、開き尾なら同等です。
第11条 尾筒:目幅が司る背幅に連らなって、急に細く絞らず一体感を失わずに極力太さがあり、尾付けのところまで丸みをもったもの を上とする。
  *尾筒は丸筒がらんちうの形質です。尾形が良くても三角筒はフナに戻る形質です。
第12条 尾付け:親骨の付け位置が深すぎず浅すぎずでほどよく、形が丸く半円を描く を上とする。
  *綺麗に泳げる付け位置で、適度な張りと柔軟性に富んだ形状を指して。
第13条 尾肩:左右とも真横に広がりバランスよく前掛かりを有すを上とする。
* 付け方向が真横でも程好い地点で半月を描く柔軟な親骨という事です。また、過度な前掛かりは、筒に横からのシャクレが生じ(この現象は締めと呼びます)、筒元が三角になりますので注意。
* この前掛かりは、上記の点で尾筒の質的にはマイナス要素、程良い前掛かりで軽やかに泳ぐ姿は何とも華麗に見えるという配慮で設けられた品評会用のみに設けられた基準ですので、その辺誤解しないようにしましょう。
第14条 尾先:尾の先端部分が左右対称にしなやかに下ろすを上とする。
  *対称=バランスが良い=綺麗に泳ぐということ。
第15条 尾芯:芯骨が体形の中心一直線上にあり、立ちすぎず水平過ぎずを上とする。
  *背が高い(フナの形質に戻っている)、腰が深い(泳ぎが重い)証しです。
第15条 尾皿:尾付けの裏部分に発現する大きさの揃った鱗が細かく密集し、幅広なハ ート形を形成しているを上とする。
* 尾の支えがしっかりしているということ。大き過ぎてもダメそれを見極めよう。

 (頭)
第16条 頭:兜金・獅子頭・龍頭がある。鰓蓋には肉をのせず、バランスよく肉瘤を発    達させているを上とする。
  *形質としては獅子頭が求める姿。近年兜巾部が貧弱な龍頭が早く大きくなるので人気ですが、そちらに傾くとらんちうの質の低下に繋がる。
第17条 目幅:より広いを上とし、目が肉瘤で隠れるは下とする。
  *目幅があるものは、兜巾部の形状が丸か真四角(獅子頭タイプ)、長四角(龍頭タイプ)度合いが進むにつれて目幅は狭く、細い体系になる。
第18条 目先:目から口先まで目幅方向に幅広く、より長く肉瘤が発達しているを上と    する。
  *目の付いている位置び注目が必要。親でも上から目が見える程度の付き方。
第19条 目下:目からあご下まで左右対称に肉瘤を発達させているを上とする。
  *この部分を側(がわ)と言い、吻端もその一部、兜巾部とはっきり別れ発達しているものが良し。
第20条 鰓蓋:鰓蓋に肉をのせず、鰓下が背出しの開始線に近いを上とする。
  *エラ深い(エラが後退)のは、兜巾が細く=胴が穂くなっている証し。
 (背)
第21条 背幅:頭から尾付けにかけて太く縁台の如く尻すぼみすることなくつづくを    上とする。
* 背鰭の名残り感が無いしっかりした兜巾から繋がる低い背が理想
第22条 背なり:頭の後ろから尾付けまでの背を形成するラインが背高にならず背を押    さえ凹凸のないものを上とする。
  *フナの背ビレの名残り、峰を見せない形質が重要。
第23条 背腰:背が下がり始めたあたりから筒までの部分で、なだらかなカーブで違和    感なく下がっているを上とする。
  *詰まり過ぎず、伸び過ぎず余裕ある滑らかな弧せあること。
第24条 背下がり:背腰の部分から尾付けまでの部分で深すぎず浅すぎず、目から水平 に伸ばした線が尾付けの中心にあたりに来る背下がりがよい。
*上見では腰が深いと太く見えるので経験がないと判り難いが、骨格不良。
 (胴)
第25条 上から見て峰を見せず、側線を感じさせない丸太の如く尾までつづき、断面は角を落とした正方形に近いを上とする。
  *フナの名残りを払拭する太い胴の決め手。
 (腹)
第26条 頭の幅より出過ぎず、垂れ下がりすぎず、太みを保ち、尾肩に触れる間際で豊 かな腹止まりが見られものを上とする。
  *餌で誤魔化さない形質豊かならんちうが良いのです。
 (鰭)
第27条 胸鰭:前鰭とも云う。左右対称で赤がしっかり残っている方を上とする。
第28条 腹鰭:後鰭とも云う。左右対称で赤がしっかり残っている方を上とする。
*上記2項は観賞上の問題です。
第29条 尻鰭:楫鰭とも云う。1枚鰭、2枚鰭とも対等である。
  *品評会では上が基本です。1枚は泳ぎ的には不利ですが、補える場合は可。
 (審査減点対象)
第31条 背の凹み、しゃくれ、鱗落ち、魚の品位を欠く巨大魚、及び未熟魚、つぼみ、
ちぢれ、めくれ、楫鰭の外出、片はらみ、頭上げ、眼覆い、
  *神経質に成り過ぎると、良い魚を残せません。度合いにより判断するのが審査員の技量です。
 (審査対象外)
第32条 背鰭、二つ尾、不具魚、背の凸凹、尾筒の曲がり、頭曲がり、さし、つまみ、 不揃い、出目、眼凹み、透明鱗、アルビノ、網目透明鱗、病魚、整形魚
* フナへ先祖孵り、不整魚、の類と感染予防対称魚です。
* また、最近整形魚が多く見られます。明らかに判るものは審査対象とします。また技術も向上し、判らないレベルのものもあるのは事実です。気持ちは判りますが、控えて欲しい案件です。
 (色模様の名称)
第33条 赤の部:金色、丹色、猩々、黄金色
     白の部:白、銀色
     更紗の部:多赤更紗、多白更紗、腰白、背赤、白腹模様
     頭模様:面被り、面白、面更紗、丹頂、両奴、口紅、窓、黄頭 
* 模様はらんちうの個性です。それも楽しみの一つです。

以上が、協会審査基準要約改訂版です。
従来の規約より一歩踏み込んで表しました。参考にして頂き、到達点は無いらんちうの奥深さを供に伝統と芸術の歴史を刻んで参りましょう。

作成 審査基準検討委員会  川田洋之助



posted by 社団法人 日本らんちう協会 at 19:43| Comment(0) | 協会審査基準
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